総則 物とは(民85~89)

民法にいう”物”とは有体物の事(同85)

刑法上ですと電気も物扱いになるようです(刑246)。
電気泥棒っていうのが成立します。
また、土地及びその定着物は不動産とし、それ以外の物を動産とするとの事です(民86)。

定着物とは
・土地の定着物とは一時の用に供するためでなく、土地に付着するものをいう。(大判大10.8.10)
・定着物とは自然の形状に基づき、土地に付着したものをいうが、その自然の状態を毀損しなければ
 分離・移動できない物に限るわけではない。(大判明35.1.27)

何となくイメージできたでしょうか。何かの本で読んだ事があるのですが、例えば”太陽”を言葉で表そうとした際
 ・朝から夕方にかけて出てくる。
 ・白く輝いている。
 ・いつも東から西に動く。
 ・空に浮かんでいる。
などとたぐるわけですが、これらは太陽そのものズバリではありませんね。
太陽とは〇〇かつ〇〇並びに〇〇及び〇〇。こんな感じで判例もざる蕎麦のようにたぐって下さい。

工作物とは
・土地に接着して人工的作業をなしたるに依りて成立せる物。(大判昭3.6.7)

どこからが建物と言える(≒登記できる)のか
・必ずしも完成した状態を要せず、屋根及び周壁を有し、土地に定着し、
 その使用目的に適当な構成部分を具備すれば足りる。(昭和24.2.22民事甲240号回答)
 *http://www.yoshitomo-office.com/14570990070330引用
 *一応私も文はメモっていたのですが、出所をメモってなかったです

主物・従物について(同87)
条文によると、物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する
他の物をこれに附属させた時は、その附属させた物を従物とし、これは主物の
処分に従うとのことです。

従物がやや重要になるのは、抵当権絡みの時です。従物は主物の処分に従うのだから
抵当権者の抵当権行使により主物が剥ぎ取られた時には従物も剥ぎ取られるわけです。
判例によると、石灯篭や庭石、ガソリンスタンドの地下タンク等が従物認定され
剥ぎ取られてきました。
石灯篭とか庭石を持ってくとか、ある種のロックハウンディングってやつでしょうか。

大判〇(明治、大正)とか戦前の判例は検索しても原文がほとんど引っかかりません。
記していた壁画が崩壊したんでしょうか。
仮に残っていても、それはそれで解析作業が必要になるでしょう。

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